FRDジャパンを創業したのは、代表取締役COOの辻洋一氏と執行役員CTOの小泉嘉一氏。辻氏は1996年に自身が創業した水処理関連装置の販売や設計施工などを手掛ける会社を経営。一方、小泉氏は水分析を手掛ける会社の代表を務めていた。辻氏が前職の仕事で水処理の効果を知るための分析パートナーを探す中、小泉氏と出会い意気投合したという。
脱窒装置開発のきっかけについて、辻氏は「よく立ち寄っていた料理店の店主から『いけすの清掃が大変』という話を聞いていた。水処理の会社を経営していたので、その悩みを解消する装置を作ってみようと思い立った」と語る。小泉氏は微生物研究のプロ。辻氏と小泉氏は、水中の硝酸をバクテリアが分解するシステムの実用化に成功。水族館などへのセールスを展開していた。
ちょうど陸上養殖が大きな注目を集めていた時期。辻氏は「この技術をアワビの陸上養殖にも生かせるのではいか」と考え、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の研究開発助成に応募。みごとに採択された。さいたま市の施設で5年間研究開発を続ける中で、二人が出資し合って陸上養殖を専業で行うFRDジャパンを起業した。
一方、十河氏は当時、三井物産に勤務していた。幼少時代から無類の魚好き。大学では農学を学び、魚類学者になることを夢見ていたという。当初は金属資源関連の部署に所属していたが、社内の制度に応募し、希望する水産系の子会社に出向。魚のビジネスを手掛けることになった。
出向先の会社では、ノルウェーやチリからサーモンの買い付けをしていた十河氏。ある日、アワビの産地となっている自治体から陸上養殖に関する問い合わせを受けた。海での収穫が少なくなり、陸上養殖に関心を持ったのだという。そのとき、十河氏に陸上養殖に関する知識がなく、業界の関係者に尋ねるなど調べていくうちにFRDジャパンに行きついた。
十河氏は辻氏と小泉氏に面会した。「自治体が興味を持っているので、一緒に自治体のところに行かないか」と話を持ち掛けたそうだ。「ビジネスというよりは勉強がてらにという感じだった。それがきっかけで2人と仲良くなった」。
そのころ、アワビの陸上養殖にチャレンジしていた辻氏たちは大きな壁にぶつかっていたという。採算ベースに乗せるには養殖の規模を追求する必要性を感じていた。十河氏は「養殖システムを活かすにはサーモンの養殖がベストなのではないか」と、辻氏と小泉氏にサーモンの養殖を提案した。サーモンの陸上養殖が動き出すきっかけとなった。