2022年6月には3店舗目となるWORK-S富士山店(富士吉田市)がオープン。コロナ禍で2年遅れたものの、目標をまた一つ達成した。ところが、これを契機にして翌年に「創業以来最大のピンチ」(田中氏)を迎えることに。事前の市場調査が不十分だったことなどが原因で同店の売り上げは計画の半分にも届かず、業績が大幅に悪化したのだ。田中氏は心機一転を狙って3店舗で働く社員の総入れ替えを断行。リストラ目的は全くなかったが、異動により通勤時間が長くなるなどの理由で、新卒採用とパートの社員が相次いで退職していった。
危機に陥った田中氏は改めて自身を見つめ直し、あることに気づいた。話を聞くように改めたつもりの面談だったが、「それでも7割ほどは自分が話していて、社員の話を傾聴する姿勢が欠けていた」。そして「これからは聞くことに専念する」と決め、2024年4月に全社員との面談を実行した。すると、社員からは様々な不満や不安の声が飛び出した。たとえば、賞与の査定で社員間に大きな差をつけていなかったことから、「頑張っても報われない」という声。とくに衝撃を受けたのが30代の社員からの発言だった。「社長が目指す10年ビジョンは達成できるかもしれないが、そのときに自分がどうなっているのか、自分の未来像が描けない」というものだ。創業してまだ10年余で、社員の定着も進んでいなかったことから、社員の年齢構成がいびつで、若手・中堅社員にとってロールモデルとなる先輩社員がほとんど見当たらないのだ。
これを受けて田中氏は「山梨ユニフォームの未来を考える会」を立ち上げた。各部門のリーダーとなる30代の社員6人で構成され、月1回ミーティングを行っている。「部門間の横のつながりをつくることで社内全体のことを把握しやすくなる。それによってメンバーは将来のキャリアを見通しやすくなる」と田中氏は話す。