セラコート工業株式会社(以下、セラコート)は、1971(昭和46)年に創業した「はんだごて」のコテ先専門メーカーである。とくに、「産業ロボットはんだ付け自動機用コテ先」の市場占有率は80%を超え、業界第1位を誇る。まさに「キラリと光る日本の中小製造業」の典型と言える会社だ。
セラコートが海外進出を考えたきっかけはひょんなことからだった。多くの企業がインターネット上にホームページを開設し始めた2003年、セラコートも独自のウェブサイトを立ち上げた。すると、海外に進出した日系企業の現地工場の責任者からメールで問い合わせが入った。当時の様子を北見取締役は以下のように語る。
「そのメールは当社のコテ先を使ってくださっている工場からのもので、消耗品であるコテ先が使えなくなり補充したいのだが現地の販売代理店に在庫がなくて困っている、というものでした。他にもセラコートのコテ先は値段がとにかく高い、もう少し安くならないかという値引きの依頼も複数社からありました」
コテ先の価格が高いという話を聞き、北見取締役は詳しく値段を聞いてみた。すると、同社が販売代理店に卸している価格の5-10倍でコテ先が売られている事実を知らされた。
「高いところだとそれ以上の価格で売られていました。当社はエンドユーザーがどんな方なのか、そして当社の商品をいくらで買ってくれているのかを知らなかったので、その事実を知って衝撃を受けました」
エンドユーザーの顔が見えていないメーカーは多い。
「当社もビジネスで直接相手をするのは大手メーカーや販売代理店・商社ばかりで、自社の商品がどのように売られているのかを知らなかったのです。流通コスト等が商品価格に上乗せされるのは当然なのですが、とはいえ当社が販売した価格の10倍にもなっているとは思いもしませんでした」
さらに外国企業のユーザーからはこんな要望も受けた。
「当社と直接取引をして欲しい。わが国に進出は考えていないのか? ニーズはあると思う」