優美氏が受講した佐野らーめん予備校は佐野市の委託事業として2019年にスタート。受講生を全国から募り、ラーメン作りだけでなく、事業計画書の作成やマーケティングなどラーメン店の経営に向けたカリキュラムを実施する。
元々は人口減少の中、市への移住者を呼び込むためのプロジェクトとして始まった。佐野市役所で移住・定住を担当する西沢治氏は「移住に際してネックとなるのが仕事。そんななか、当時の担当者が街中でラーメン店に行列ができているのを目にし、『ラーメン店の開業と移住をセットすればいいのでは』と思いついた」と話す。とはいえ、開業しても数年で廃業しては移住希望者に対する説得力は乏しい。そこで市は市内のラーメン店の廃業率について独自に調査した。その結果、高齢化や後継者不在によるものを除き、過去10年間で経営不振を理由とした廃業率は12.4%。一方、大手飲食系サイトの調べによると、ラーメン店全体では開業後1年以内に40%、3年以内には70%が廃業しており、「佐野らーめんが事業としていかに安定しているかがデータとして裏付けられた」(西沢氏)という。
こうした市の取り組みに対して「佐野らーめんの伝統を守りたい」として地元の店主らが予備校で講師をつとめたり修業の場を提供したりと積極的に協力している。予備校では第15期までに25人が受講し、うち7人の卒業生が開業した。なかには、遠方から移住してきた卒業生もいて、秋田県の食材を使った佐野らーめんや、奈良県天理市のスタミナラーメンとのハイブリッドなど、それぞれの出身地の特色を加えたメニューを提供している。