全員参加のDXが実現すると、業務内容もデジタル化が加速した。作成したアプリの数は3000を超えた。入社3年の女性の現場監督は、生コンの輸送状況を管理するアプリを作成した。生コンは生コン工場で製造され、ミキサー車に載せて2時間以内に建設現場に運ばなければ、硬化して使い物にならなくなる。そのため、何時に工場を出て、何時に到着するか時間の把握が重要で、現場監督にとっては大きな負担になる業務だった。アプリの導入でその作業を軽減させることができた。これこそ、現場の担当者でなければ作れないアプリと言えるものだった。
また、アプリの利用を協力企業にも広めている。建設現場は現場ごとに作業者の登録を紙で行っていたが、これをQRコードで読み取るようにした。当初は「スマートフォンを持っていない作業者もいるし、対応できないのでは」といった懸念の声も上がったが、導入すると、協力企業から作業負担の軽減になると喜ばれた。
同社は一連の取り組みで社内のDX化を加速させ、結果として労働時間の短縮に成功した。また、現場の品質チェックシートのデジタル管理により、業務品質の向上にも結び付けた。そして、DX導入最大の目的としていた若手人材の定着についても、新卒で入社した社員の3年後定着率が83.3%に改善した。
後藤社長は「DXも最初は社員から歓迎されたわけではない。賞与に反映させるといった“脅し”のようなことを言ってまで実施させたのは、社長の私が腹をくくってやると決めていたから。物事はゼロから1にするのが一番難しい。それをやるのが社長の仕事。動き出せばあとは社員が自走してくれる」と、自らの役割を説明する。