もちろん、うまくいっているケースばかりではない。「入社した企業が使用している技術が古く、このままでは新しい技術についていけなくなるのではと不安になる」「日本語で書かれた書類ベースの仕事が多く、自分の日本語能力では思うように仕事ができない」などといった不安や不満が聞かれ、これまでに就職したバングラデシュ人の4割ほどが最初に入った企業を辞めている。「4分の3ほどは高い報酬が得られる東京の企業など国内で転職し、残りが帰国している」(荻野氏)という。
こうしたケースを踏まえ、荻野氏は成功のポイントについて「まずは経営者の姿勢。現場や担当者任せにせず、経営者自らがコミットすることが大事」という。実際、社長が主体となって日本語を教えたり、常日頃からコミュニケーションを取ったりする企業で定着率が高い傾向にある。また、先進国である日本と途上国という違いから“上から目線”が起こりがちだが、「相手や国に興味を持ち、対等の立場で接することが大事」とも。
さらに日本語能力については企業側の姿勢や取り組みで工夫できることがあるという。「彼らの日本語学習をサポートしたり、逆に日本人社員が英語など外国語を使用したりする企業で活躍する傾向がある。高い日本語能力を求めるのであれば、そのレベルに達している人を採用するか、企業としてしっかり支援することが必要」。その一方で、IT関係では英語で書かれた情報が圧倒的に多い。「英語能力が高いバングラデシュ社員が最新の情報を得て企業の業務に役立ったという例もある。日本人の代わりになる人材ではなく、英語や技術力の高い外国人材を採用する、という考えに立ってもらいたい」と荻野氏は話している。