昨年6月に「愛犬と泊まる湖畔の温泉リゾート」をコンセプトにした「びわ湖 松の浦別邸」(滋賀県大津市)をオープンした。遊休施設となっていた企業の保養施設を購入して活用したもので、以前から計画を進めていた。もちろん、コロナ禍により宿泊客が激減したなかでの新規事業に対して慎重な意見もあったが、入念な市場調査に裏打ちされた自信があった。なにより宿泊業はお客様あってこそのビジネス。休業ばかりでは従業員のモチベーションを保つのも難しく、コロナ禍の真っただ中でのオープンに踏み切った。
「松の浦別邸」には、愛犬家でもある大西朝子支配人が設計段階から関わっており、犬連れのお客様の導線や必要な設備など、愛犬家だからこそ気づく要素が多分に取り入れられた。たとえば、人と犬とが同じ場所で食事を取れるスペースが備えられ、本当の意味で「愛犬と泊まる」リゾートを実現した。ダイニングには、わんちゃん用のビュッフェ「ワンビュッフェ」を用意して約10種類のメニューを愛犬にも楽しんでもらえるようにした。「犬と一緒に宿泊できる」という宿泊施設はいくつかあるが、ここまで本格的で高級な施設は関西地区では極めて少数。いわゆる「ブルーオーシャン(競合相手が極めて少ない市場)」に参入できた格好だ。
おかげさまで京阪神地区の富裕層を中心に宿泊客が多く訪れている。お客様には期待していた以上の満足をいただけたようで、1泊の予定を急遽2泊にしたり、チェックアウトの際に次回の予約を入れたりするケースがある。リピーターも多く、リピート率は35%ほど。宿泊客の3分の1以上はリピーターとなっている。さらに、お客様がペットつながりの知人・友人に紹介したり、宿泊中の愛犬の写真を自身のSNSにアップしたりで評判が広がり、稼働率はほぼ100%。高級なサービスに見合った価格設定をしたこともあり、京都の奥座敷・湯の山温泉にある「翠泉」(京都府亀岡市)とともにコロナ禍での収益の原動力となっている。