浜口氏はもともと神戸市の出身。千葉県で介護用ベッドなどのレンタル事業を経営していた。2013年に里帰りした神戸で水産会社を営んでいた夫と出会い、千葉の会社を譲り渡して結婚した。人生を変える大きな転機となったのは、夫婦で出かけた石垣島の旅行だった。
「居酒屋で食べたカツオが衝撃的なおいしさだった。今まで食べたカツオとはまるで別物だった」
「沖縄の魚はおいしくない」という先入観を持っていた夫も考えを覆された。沖縄本島に住む知人にその話をすると、「カツオの本場は伊良部島」と教えられ、夫婦での移住を決意。神戸の水産会社を夫の弟に託し、2015年に神戸の水産会社と同名の「浜口水産」を設立した。宮古島と伊良部島を結ぶ伊良部大橋が開通した年だった。
「伊良部のカツオを全国に届けよう」と、港で水揚げされた魚をさばき、真空冷凍して販売するビジネスを始めたが、なかなか軌道に乗らなかったそうだ。そこで加工品の製造に取り組むことにした。
当時、浜口水産の加工場は、宮古島伝統の鰹節を製造する会社の加工場の一角にあった。その加工場からは鰹節を加工する際、大量の削り粉が出ていた。「それを安価で購入させてもらい、パウダーにして商品にした」と浜口氏。だが、それもなかなか売れなかった。