同社は2014年6月に大手電機メーカーの生活支援ロボット事業をスピンアウトして設立した。藤井仁社長は前社で新規事業開発に所属し、介護ロボット開発に取り組み、初代社長の河野誠氏とともに、RT.ワークスを立ち上げた創業者メンバーの一人。新市場に踏み出すことに不安があったが、その時に後押ししたのが経済産業省と厚生労働省だった。当時から介護の現場は人手不足が深刻だった。介護にロボットを活用しようという機運はあったが、市場の将来性は未知数という状況だった。
経産省と厚労省はまず、介護ロボットの重点分野を策定し、介護ロボットの開発・導入を推進する開発事業に着手した。同事業では開発支援と同時に研究機関などによるコンソーシアムが形成され、介護ロボットの安全規格の策定なども実施された。RT.ワークスもこの事業に採択され、介護ロボットの開発を行った。安全規格と安全に関する仕様を同時並行でつくる作業に最初から参画できたことは大きかった。福祉機器メーカーはロボットの知識はなく、ロボットメーカーは福祉機器に求められる要素を知らなかった。互いに知らない分野がある中で手探りの策定作業だった。規格作りは、生活支援ロボットの国際安全規格「ISO 13482」の発行というかたちで結実した。一方同社の介護関連ロボットの開発は、コンソーシアムで試作品を披露して、ダメだしをされて、数か月後にまた改良して持っていくという作業を繰り返した。藤井社長は「最初は『介護業界を知らない電機メーカーが何しに来たの』という見られ方だったのが、だんだんと『結構やるなあ』に変わっていった」と当時を振り返る。最終的にコンソーシアムには同社を含む5社が残った。開発事業の採択決定がされた時に経済産業省の担当者に呼ばれ「本当に商品化する覚悟はあるか」と真剣なまなざしで問われた。「これは本気でやるしかない、『やります』」と返答した。そこから国の支援も本格的にスタートし、開発スピードが加速した。同時期に電機メーカーから分社化して介護ロボット専業メーカーとして独立した。経産省にとっても介護ロボット市場を立ち上げる中で、新会社が発足したことは産業政策としても好意的に受け止められた。