売り上げの落ち込みはリーマン・ショック時のようにコロナ感染が収まればすぐ元に戻るという見方も多かったが、コロナは訪問営業自粛などこれまでの仕事のやり方を変えつつある。従来の考えを根本的に見直さなくてはならないと思った。金属加工業は受注次第で、好・不調の波が大きい。外出自粛で営業効率も悪化する。サプライチェーン分断で部品の調達難も顕在化するだろう。だが、うまく対応できれば、コロナ禍は金属加工業の閉塞感を打破するチャンスになるかもしれないと考えた。
まず、株式会社村井の教育事業を強化した。会員企業の採用や社員研修、エンジニアリング人材の育成に力を入れた。会員企業と取引先メーカー間の価格交渉や取引強化のサポートも行った。あわせて補助金の無料サポートも開始した。コロナ禍で雇用調整助成金など国や自治体の補助金が拡充されたが、事業を2~3人で行っている中小企業は申請をする暇がないし、申請したくてもやり方が分からない。そこで企業訪問をして申請方法を無償で伝授した。何年も先の見通しや計画を立てている中小企業はほとんどないのが現状なので、今後も仕事や生活が継続できるよう補助金を活用してもらいたいと思ったからだ。
協会では会員企業による受注アライアンス(協力)チームを結成した。会員は鋳物、製缶、金型など8つの加工アライアンスチームのいずれかのメンバーになっているが、受注を受け身ではなく直接注文を取りに行くスタイルに変え、自社で出来ないものをチームでシェアすることにした。会員には顧客情報を共有し、メンバーが訪問した会社や保有設備などのリストを作ることを要請、大手企業と取引を始めたい会員がいれば、その大手に縁故を持つ会社が中間マージンなしで繋ぐなど、会員の取引先を増やすよう努めた。
強調したいのは会員企業に部品製造や加工依頼ができる検索ポータルサイト「みつツク」の開設だ。文字通り「作る、見つける」サイトで、誰でも簡単に加工品の依頼ができて、受発注ともに仲介手数料が無料のシステムだ。同サイトでは「副資材発注管理自動エクセル」の無料配布も始めている。通常の資材発注は、エクセルを作り、注文書を作り、PDF化するなどの手間がかかるが、このアプリならワンクリックで自動発注ができる。