2024年には試作的にツアー商品を企画。旅行代理店を招いてモニターツアーを催したり、シンガポール・マレーシアで人気のインフルエンサーを招き、このエリア紹介をしてもらったりといった取り組みにもチャレンジした。エリア内に宿泊施設が少ないというデメリットを克服するため、ホテルが多く立地する立川市を宿泊ポイントにして多摩西部の山間エリアを周遊するツアーにもトライした。
2022年度から3年計画で進められた中小機構による支援は2024年度に終了。これまで学んだノウハウを活かし、いよいよ2025年のシーズンには本格的なツアー商品の展開に取り組む。地域にある観光施設の「点」を結んで「面」で展開する戦略だ。
沼倉氏が運営する「トレックリング」では、ガイドと一緒に奥多摩の山道をサイクリングできる。乗り捨てできるポイントがいくつかあり、小澤酒造もその一つになっている。奥多摩町のショップに戻らず、青梅の小澤酒造に向かい、サイクリングで一汗かいた後、日本酒のテイスティングやレストランでの食事を楽しんで、最寄りの駅から帰路につく。夏のシーズンになれば、湖でのカヤックや渓流でのラフティングを組み合わせたツアー展開も可能だ。
「ウィルダネス東京」で交流を深めたメンバーは中小機構の支援から学んだノウハウを活かして、それぞれ連携しながら自発的にインバウンド誘客に取り組むようになっている。また、高木氏の会社では、インバウンドに対応できるガイドを養成する取り組みをスタートさせた。
こうした「ウィルダネス東京」のチャレンジには強力なサポーターも現れた。
立川と青梅の商工会議所、あきる野と日の出の商工会が2025年4月に「東京多摩西部広域経済連携協議(TTW)」という広域の連携組織を発足させた。商工会議所や商工会レベルで多摩地域の活性化に向けて連携するが、その初年度の事業計画の一つに「ウィルダネス東京プロジェクトの推進」という項目が盛り込まれた。
事業者同士の「緩やかな話し合いの場」から始まった「ウィルダネス東京」だが、地域の経済団体の大きな後押しを獲得し、この地域にどんな活力を与えるのか。事業者たちの今後の取り組みに注目が集まる。