ミャンマーでのビジネスチャンス
「現在のミャンマーはとにかくビジネスのスピードが早い」と井口社長は言う。長年ミャンマーとの関わりを持ってきた井口社長のもとには、現地の企業経営者からよく「こういう話があるが、一緒にやらないか?」とビジネスチャンスが持ち込まれる。
たとえば「日本車の輸入ビジネス」の相談をされたことがあった。ヤンゴン市内を走っている車のほとんどが日本の中古車、と言ってもいいくらいよく日本車を見かける。日本の中古車の人気は高いのだ。そこに目をつけた現地の社長が「よい品質の日本車を輸入したい」と持ちかけてきた。井口社長はさっそく日本側で中古車輸出の準備を始めた。「準備に2カ月くらいはかかる」と相手の社長に伝えると、嫌な顔をされた。後からわかったのだが、嫌な顔をした理由は「2カ月も待っていられない。すぐにやってくれないと困る」ということだった。
井口社長はミャンマーとのビジネスに関して「とにかくスピードが大事。意思決定を速やかに行なって、アクションを起こせるかどうかが重要なポイントだ」と言う。中古車輸入ビジネスではチャンスを逃してしまったが、その失敗を取り返すべく、現在、自動車修理工場と修理部品の販売を手がけようと準備中だ。また、その延長線上で建設機械や農業機械の修理ビジネスも展開しようとしている。
ミャンマーで中小企業がビジネスをやるメリットについて、井口社長はこう語る。
「乱暴な言い方だが、数億円くらいの規模のビジネスは日系大手商社にとっては商売のうちに入らない。でも、中小企業にとっては非常に大きなビジネスになる。ビジネスチャンスは数多くあるので、中小企業がスピーディーに対応できるならば、そういったチャンスをものにすることは可能だ。こんなに面白い環境はない」
同時に「注意しなければならないこともある」と言う。
「法律などは、まだ細かく成文化されていない。この点は困っている人も多いようだ。ではどんな解決策があるかというと、『やってみるしかない』ということになる。現地法人を作って日本とお金のやりとりをどうすればいいのか?といったことも、弊社では現地の銀行と相談しながらやっている。試行錯誤してやっていると『こうやればいいんだ』という確実なやり方が見えてくる。そのやり方は、後からミャンマーに進出してくる日本企業の参考にもなると思う」
工場内にはさまざまな建材がある
本業の建築分野での進出はどう考えているのだろうか? 「本業で進出する時期についてはすぐには難しい。建物の建て方についての考え方が、日本とミャンマーでは、まだ大きく違うからだ。遠くない将来に弊社でやっているような建築関係の実験支援サービスが必要になる時期は来ると思うが、今すぐではないだろう」と答えてくれた。
しかし、前述の修理工場の事業立ち上げだけではなく、井口社長には他にも事業構想がある。
「それは農業化学の分野。過去に農業は一度失敗している。失敗したがゆえに、この業界のことがよく分かった。消費者のニーズなどを考え、今一度農業関連でビジネスを立ちあげたいと思って、現在準備に取り掛かっている」
本業とは全く違う分野での展開に取り組んでいる井口社長だが、「どれもこれも実験的な要素がある。弊社はもともと『実験屋』。だから私の中ではあまり違和感はない」と語る。
これからますます経済発展が期待されるミャンマーで、井口社長の異業種でのチャレンジは続く。