アップサイクルのプロダクトアウトは試行錯誤の連続だ。「製造業は産廃物を出したいわけではないが、日々の業務のなかでお金も人手もかけられない。産廃物は再資源化が難しいものも多いし、再利用するには既存の方法以外のマネジメントが必要だ」という。
たとえばポリ塩化ビニル(PVC)。塩化ビニルの重合反応で得られる合成樹脂で、難燃性、耐久性、耐油性に優れ、雨どいから文房具まで広く用いられている素材だが、大量に使われているということは大量に廃棄されるということでもある。大分県の有力企業からもピンク色のPVCの端切れが継続的に出ていた。このピンクのPVCを使って同社が新本社完成記念に配るノベルティ(記念品)を作れないかと持ちかけられた。
ここで大山さんは考えた。「AMAREのはじめのデザインでは端材から主にアクセサリーを作ったが、それにはゴムや金具など新たな部素材を付加しなくてはならない。できるだけオリジナルの端材だけで作れないか」
挑戦が始まった。企業のロゴマークを印刷すれば、新たにインクを使ってしまう。デザイナーが「ロゴを型押しすればいい」とアイデアを出した。企業側から「子供から大人まで多くの見学者に使ってもらえるものがいい」と意見が出た。大山さんは「ブックマーク(栞)なら性別・年齢問わず使える。質感の高いデザインにしては」と提案した。
こうしてPVCの端材から生まれ変わった豪華なブックマークは今年5月中旬、無事に記念品として納品された。「完成まで半年ほどかかりましたが、みんなが納得するプロダクトを生み出すためにアップデートしていく過程が楽しかった」と振り返る。
端材に付加価値を付ける取組みを通して製造業自らが「あ、これ使えるのか」と気が付くおまけもある。今まで産廃処理に出していたウレタン樹脂の切れ端を二次製品に利用できないかと考えるようになった経営者が出てきたという。