「TOKYO WOOD」を使用した住宅の評判はよかった。小嶋氏の知人の新築住宅を小金井市内に建築した際にはこんなことがあった。建築して間もなく近隣住民から臭いのことで同社に問い合わせがあった。てっきり悪臭に対するクレームかと思ったら、「とてもいい香りがする」という内容だった。天然乾燥を施したヒノキの香りが周囲にも広がっていたのだ。また2017年には東京都の「木の香る多摩産材事業」に採択され、翌年、香り高い「TOKYO WOOD」を使ったモデルハウスが三鷹市内の住宅展示場にお目見えした。
もちろん香りだけではない。厳しい品質基準に合格した木材を使用し、耐久性や断熱性、気密性にもすぐれている。そうした「TOKYO WOOD」の良さをよりいっそう理解してもらおうとバスツアー(参加無料)を年3回の頻度で実施。マイホーム建築を検討している人たちに多摩地域の伐採現場や原木(げんぼく)市場、貯木場、製材所を日帰りで見学してもらうもので、小嶋氏をはじめ普及協会のメンバーが「TOKYO WOOD」の魅力をアピールしている。「参加者のほとんどはその後『TOKYO WOOD』の家を建てている」(小嶋氏)という。
2015年にSDGsが国連総会で採択されると、同社の地産地消の家づくりへの注目度がさらに高まった。「TOKYO WOOD」の家は多摩地域を中心に建築されており、累計で800棟近くに達している。
小嶋氏の今後の希望は「社名も『TOKYO WOOD』に変えること」だという。「東京の木を使った家づくりを進めることで東京の森を守り続けることは私一代のことではなく、このさき永続的に行われていく必要がある。そのためには個人の名前を冠した社名より『TOKYO WOOD』の方がふさわしい」と言い切る。