こうした社員たちの努力とともに、長年の経験に裏打ちされた優れた技術が再建を大きく後押しすることになる。
「製造現場は工場というよりは工房のイメージ。少人数の製造舞台が一台一台手作りで仕上げている。職人集団を目指している」と元田氏。大きな強みとなっているのが、アームの先端部分に取り付ける「アタッチメント」の開発技術だ。重量物をバランサーに固定する役割を果たしている。
固定の仕方は、顧客のニーズによって大きく変わる。手でつかむように対象物を両側から挟み込んで持ち上げるタイプもあれば、紙や金属のロール材を移動する際、棒状の支え中心の空洞に差し入れて、すくい上げるように移動させるタイプもある。鉄材であれば強力な磁石のアタッチメントに吸着させる方法もある。磁石ではくっつかないガラス板のような素材も吸盤状のアタッチメントで吸着させて移動させることもできる。
「バランサーを使ってこんなことがしたい」。そんな顧客のニーズを丹念に聞き取り、対象物を安定的かつ安全につかみ取れるようアタッチメントを設計・開発していく。50年以上にわたって積み重ねた一つ一つの経験や実績が財産となり、次の受注につながっている。
顧客の中には中小の町工場も多い。30年以上も使い続けている工場もあるそうだ。ふつうなら「買い換えてください」というところだが、限界ぎりぎりまで修理に対応する姿勢を崩さない。
「古いものだと、半導体部品が見つけられない。もう日本では生産していないので、海外の部品を取り寄せるが、やはり30年前の日本製が一番」と元田氏は指摘していた。流通在庫がない部品を世界中のサイトを探し回り、見つかったらすぐに購入して確保しているそうだ。