協同組合ウイングバレイは、1962年に大手自動車会社のサプライヤーが集まり設立され、後に岡山県総社市の工業団地に主要拠点を移した。現在の組合員数は12社。機械加工、プレス加工、溶接組み立て、金型製造等、自動車をはじめ様々な部品の生産に関わっている。
その歴史は、主要取引先の変遷に翻弄され続けた歴史でもある。自動車産業が右肩上がりで成長していた時代は、ピラミッド型事業構造の中で共存共栄の関係を築いてきた。しかし、2000年代に業界構造が激変する中、その関係も様変わりしはじめた。「今までの仕事のやり方では立ち行かなくなる」。組合員企業にも危機感が広がり、生き残りには他社からの受注を拡大することが不可欠となった。
そうした中で出会ったのが、中小機構だった。2015年に中小機構が工場の生産性改善で協力することになった。ただ、晝田眞三ウイングバレイ理事長(ヒルタ工業株式会社会長)は「中小機構のことは、工業団地移転時の高度化資金融資の提供者というイメージで見ていた。だから最初は自動車産業の指導が本当にできるのかという思いがあった」と当時を振り返る。しかし、中小機構から最初に提案されたのは「からくり改善」だったことから、見る目が変わった。からくり改善は、大きな投資をせずに、現場の創意工夫で作業効率の改善や課題を解決するもので「これなら資金がなくても各社が無理なく参加できる」と思えた。もともと新入社員研修や管理職研修を共同で行なっており、協力して取り組むことには慣れていた。からくり改善はその後、晝田理事長が会長を務める岡山県中小企業団体中央会と連携するかたちで、4年間にわたって実施された。その後、中小機構の支援は、2017年より「からくり改善」から「製造現場の改善」、「自主保全」と取り組む内容を変えて現在に至っている。
晝田理事長は「同じ自動車部品の企業だが、得意分野はそれぞれ別で、他社にノウハウが漏れるのを恐れる必要はなかった。だから、みんなで各社の工場を見ては改善点を指摘しあえる関係ができた。同時に『あの会社ができていて、なぜうちができていないのか』という競争心があったのもよかった」と、協力と競争がいい具合に作用したと指摘する。