この商談会は、茨城県信組にとっても大きな学びとなった。
「バイヤーから受けた指摘をどう改善したらいいのか。それに対して、事業者にどういったサポートをしたらいいのか、お客さまに提案できる力を持たないといけないと感じた」と鈴木氏は語る。そこで立ち上げたのが「販路開拓・伴走支援プロジェクト」だ。
販路を開拓するためには、バイヤーの眼鏡にかなうよう、取引先事業者が売り込みたい商品をブラッシュアップしないといけない。そのスキルを職員に身に着けてもらうため、中小企業への支援実績が豊富な専門家による中小機構の支援事業を活用した、職員の研修制度を実施することにした。
中小機構では、商工会議所や商工会、金融機関など中小企業の支援に取り組む機関を対象に、事業者支援にかかわる職員スキル向上をサポートする「地域支援機関等サポート事業」を展開している。この事業では、販路開拓支援につながる施策・事例などの情報提供や、事業者との対話を通じて伴走支援につなげる支援のポイントをはじめ、DX・カーボンニュートラルの導入支援の進め方など、支援者の課題に合わせた幅広い支援ノウハウを習得することができる。
茨城県信組では、全営業店を含め信組全体から研修に参加する職員を募集した。ただ、販路開拓に向けては事業者にもがんばってもらわないと良い結果が生まれない。職員の意欲だけでなく、支援を受ける事業者の販路開拓に向けた「やる気」「本気度」も選考の重要な要件に設定し、8人の職員を選定した。
研修では1カ月に1回程度、研修センターに集まり、中小機構のアドバイザーから定期的に支援のノウハウを学んだ。多角的に会社の経営状況などを把握するためのツールである「ローカルベンチマーク」の活用法や、バイヤーに商品の魅力を説明する際に使用する営業資料の作成などのスキルを積みながら、同時並行で事業者を伴走支援する。
経営者から課題や問題点などを聞き取ると、研修でアドバイザーから意見を聞いた。アドバイザーから学んだ対処法は経営者にフィードバックし、改善に取り組んだ。考えながら走り、走りながら考える。職員と事業者の二人三脚で課題解決につなげていった。
事業者の支援では、本部の地域支援室や営業推進部・農林水産部の職員もフォロー。組織全体を巻き込んだ支援となった。