自社の溶接や鉄加工の技術を活かせて、従業員の雇用維持もできる新規事業はないか。模索するうち浮上したのが社長自身の趣味であるアウトドアだった。趣味が高じて2008年に完全子会社「株式会社ライズエンジニアリング」を立ち上げ、アウトドア関連用品の試作を始めていた。コロナ禍でアウトドアブームは徐々に盛り上がりを見せている。それまで企業向けのB to Bの仕事が中心で、アウトドア製品を作り一般消費者向けに販売するB to Cの仕事は初めてだったが、思い切ってやってみようと2018年に自社ブランドを立ち上げた。
ブランド名は「THE IRON FIELD GEAR」、「鉄を用いてアウトドアフィールドにおける全く新しい道具を創造する」がコンセプトだ。長年造船や建築などで培ってきた鉄鋼分野の技術を活かし、これまでになかったアウトドアアイテムを生産・販売する。専属スタッフ4人に本社の事業部門からの応援を加えて、受注から発送作業まですべてを自社で完結することにした。
新ブランド初の販売は2018年11月、焚火ストーブ「TAKI BE CAN(たきびーきゃん)」だった。ガラス扉付きの「持ち運べる焚き火装置」で、アウトドアキャンプに不可欠の焚火を安全で使い易くした。近くに置いても火の粉が飛び散る心配がほとんどなく、庫内の網上や本体上部で調理もできる。発売後、地元の丸亀市飯綾商工会がイベントで使ってくれたり、アウトドア専門誌などが取り上げてくれたりして認知度が徐々に高まり、取扱店舗での販売のほか、オンラインでの直販も好調に推移した。2020年9月決算ではTAKI BE CANをはじめとしたアウトドア用品の売り上げが5000万から6000万円になる見込みだ。