これからの訪日外国人旅行者ビジネス

「きゃりこ」 外国人観光客のリピーターも多い癒しの猫カフェ

2フロアを使った店内に35匹程度の猫が自由気ままに店内を歩き回り、寝転んだりする。そんな猫を触ったり、フロア内のおもちゃで一緒に遊んだりすることができる空間の猫カフェ「きゃりこ」(新宿店)がいま外国人観光客の注目を集めている。

来店客も猫も居心地のよい「きゃりこ」

癒し系「猫カフェ」をオープン

福井隆文社長がきゃりこをオープンしたのは8年前。東京で3番目、関東で4番目にオープンした猫カフェだ。東京で猫をたくさん飼いたいという想いから始めたのが猫カフェだった。利便性のよい立地を探し、物件オーナーとの交渉の苦労もあったが、吉祥寺によい物件を見つけることができ、ブリーダーから猫を譲ってもらい、まずは吉祥寺店をオープンさせた。

オープン当初、店頭でのチラシ配布や近隣へのポスティングで店を告知したところ、ネットや口コミの効果もあり、吉祥寺という場所柄学生のほか、夕方以降には20・30代の仕事帰りの人たちが多く集まった。いまは14時から夕方までが来店客数のピークであり、1人で来店する顧客の中には、自宅で家族の介護をしている人も多いという。さまざまな環境の人たちが癒しを求めて猫カフェに来店しているようだ。

ブームと珍しい業態ゆえに注目を集める

きゃりこが開店したときは、猫のブログ本やYoutubeで猫の動画が人気を集め、第2次猫ブームともいわれていた時期だった。そのブームの一環としてきゃりこもテレビで取り上げられたことがあった。そして、それをきっかけに、ネットや口コミで評判が広がり来店客数がアップした。オープン半年後で吉祥寺店は軌道に乗り、2年後に福井社長は、さまざまな人が集まる新宿に出店することを決めた。

新宿店は平日で100-150人、週末で200-250人の来店がある。平均滞在時間は80分程度で、客層は若いカップルからビジネスマンまでと多様だ。

新宿店でも癒しの空間を大切にし、大人がゆっくりできるスペースを用意。来店客は常に猫と遊んでいるのではなく、パソコンで仕事をしたり本を読んだりしてくつろいでいる。

現在は円安の影響もあり、新宿店には外国人観光客も多く来店する。きゃりこが注目されたきっかけは、東京の面白い場所を紹介している海外メディアの取材を受けたことだった。その内容は海外でテレビ放映されたという。

また、海外で有名なガイドブックで紹介されたことの影響も大きかった。

猫と戯れる外国人観光客

来店客の期待を裏切らない癒しの空間

きゃりこの来店客は約40%がリピーターだ。また、ビルの外に設置してある立て看板を見て興味を持った人、宿泊ホテルのコンシェルジュから紹介されて来店する人も少なくない。最近の1、2年でロンドンやパリにも猫カフェができたために興味を持ち、自らネットなどで調べて来店する人も多い。

新宿店では、外国人観光客向けにメニューや注意書きのPOPは英語を併記してある。アジア人も増えたので中国語と韓国語の利用ガイドも作成しているが、ほぼすべての人が英語の利用ガイドで十分だという。

英語を併記したメニューと注意書きのPOP

一方、店のスタッフは英語を使う機会が増えたため、それまで英語が話せなかったスタッフも英語で接客できるようになり、サービスレベルが上がったという副次的効果も得られた。

来店客には、次回の来店時に利用できるドリンク無料チケットを配る。観光客の中にはそのチケットを使って滞在期間中毎日来店する人もいるという。それだけリピート客が多い理由は、スタッフと猫が居心地のよい空間を作り上げているからに違いない。また、店長やスタッフは猫の健康管理にも気を配り、猫にとっても居心地のよい空間をつくり上げている。

癒しを求める心は万国共通だ。いま、世界では動物と触れることで人の心を癒すアニマルセラピーが注目されている。きゃりこがつくり出す癒しの空間は、どの国の人たちからも歓迎され、受け入れられるサービスを提供し続けている。

現在、福井社長はさらに店舗を増やしたいと考えている。外国人観光客も多く来店するようになったので、和のテイストを基調とした店舗をつくろうかとも考えているという。

また、猫カフェを珍しい場所としてではなく、普通にカフェを選ぶ際の選択肢に加えてもらえるようにしたいとも考えている。福井社長の夢はさらに広がっている。

企業データ

企業名
株式会社きゃりこ
Webサイト
代表者
代表取締役 福井隆文
所在地
新宿区歌舞伎町1-16-2(新宿店)
事業内容
猫カフェレストラン

掲載日:2015年3月16日