江戸時代からすでに海外へ輸出していたという有田焼。しかし近年は価格面や文化の違いなどから、輸出がうまくいっていない様子を見て、「国内で商売するしかないと思っていました」と話すのは、「有限会社金照堂」の代表取締役、金子真次さん。有田焼の卸問屋だったものの、既存の方法では売れなくなってきたことを感じ、十数年前からオリジナルの陶磁器作りに乗り出す。そこで生まれた、「富士山ペアぐい呑」が2011年に観光庁の「魅力ある日本のみやげコンテスト」の韓国賞とイギリス賞に輝いた時ですら、海外展開は考えていなかった。
「このぐい呑も結局は『インバウンド人気』で、ほとんどが国内で取引が完結するものばっかりでした」と金子さん。そんな中、2016年に有田焼が創業400年を迎えるため、佐賀県が海外に向けて本気で発信することを知る。様々な商社や窯元がイタリアのミラノサローネや、フランスのメゾン・エ・オブジェへの出展を決める中、参加したいけれど海外で勝負できるものがない、一から作るにもそれなりにお金がかかってしまうため難しい、と、この大きな流れに乗れず諦めムード。けれども華やかに活動している他の商社や窯元を見て、「やはり私たちも何かやりたい!」と、この県の海外に向けたプロジェクトに参加する方法がないかと考えるようになった。そんな折に、「海外で色鮮やかな南部鉄瓶が売れている」というニュースを目にする。そこで得た気づきをもとに、デザイナーや赤絵師と相談しながら、2015年に新ブランド「麟 Linシリーズ」を生み出した。