電気式の開発で海外での展開も大きく開けてきた。
ボイラー式はメンテナンスがネックとなって海外展開が難しかったが、電気式になったことで課題が解消され、海外の幅広い事業者向けに販売できるようになった。タイやベトナムなど東南アジアを中心に輸出すると、「故障が少ない」と海外の利用者からの評判が広がり、順調にマーケットを広げていた。そんな中、海外展開で知り合ったコンサルタントからアフリカ・スーダンでの事業の相談が寄せられた。
「スーダンで乾燥タマネギの生産を復活させたい。ぜひ協力してほしい」
スーダンは、エジプト南部と国境を接し、サハラ砂漠の入り口にあたる半乾燥地帯に位置した国だ。園芸作物の中では、タマネギの産出額が最も高い。現地ではタマネギは1年に一度だけ収穫されるため、乾燥させて保存食にする。乾燥させることで半年から1年ほど保存ができる。かつては欧州にも乾燥タマネギを輸出するほどだった。
乾燥タマネギは、日本であまりなじみのない食材だが、スーダンでは郷土料理をはじめ、さまざまな料理に利用されている。沸騰したお湯に乾燥タマネギを入れ、塩コショウで味付けしたオニオンスープがインスタント食品のように手軽に飲まれている。
スーダンには、もともと旧ソ連の援助で建てられた大規模なタマネギの乾燥工場があり、産地から集められたタマネギを1日50トンも処理していたという。しかし、老朽化などからその工場が2006年に閉鎖され、大量のタマネギが市場に余る事態になった。価格が乱高下するなど市場が混乱。農家の耕作放棄や売れ残ったタマネギの大量廃棄などが深刻化していた。その状況を何とかしたいと考えたコンサルタントが大紀産業の電気乾燥機に着目した。
スーダンは水力発電所が整備され、電気代が安く、現地では電気乾燥機を必要としていた。安原氏はコンサルタントの話を聞き、「ほかの日本の企業ではこの事業はできないだろう」と感じたという。アフリカは東南アジアよりもはるかに遠い。スーダンでの事業が成功すれば、社会課題の解決に貢献でき、ビジネスチャンスが広がる。事業化の検討を重ね、JICAからの支援を前提に事業に取り組むことを決心した。