しかし、生産者が加工・販売までを手掛ける6次産業商品は市内には種類が少なく、生産量も限定的。野菜や果物、魚介類といった農林水産品は対象外だったことで「6次産業商品以外にもいいものがたくさんある」との声が各方面から聞かれるようになった。これを受けて市では2022年に若手職員によるプロジェクトチームを組織し、一次産品も対象にした新たなブランド事業に乗り出すことになった。
翌年には商工・雇用政策課の商業部門と農政振興課のブランド推進部門を統合して商業・ブランド推進課を設置。さらに中小機構の地域経済振興支援事業として専門家の派遣を受けることになった。同事業は、地域の支援機関や市町村などと連携して、産地企業・地場産業企業などの中小企業グループ(地域中小企業群)を面的に支援するもの。派遣された大手広告代理店出身の吉田透氏は、化粧品や自動車など国内外300以上の商品開発やブランディングなどに携わってきた。
「中津市にはせいぜい唐揚げのイメージしかなかった」という吉田氏は2023年8月に初めて現地を訪れ、各地に足を運んだ。すると耶馬渓や中津干潟など豊かで変化に富む自然に圧倒され、「日本列島が持つ大自然が中津市には凝縮されている」との感想を抱いた。もう一つ印象的だったのは「げってん」と呼ばれる地元の人たちの気質。「頑固でこだわりを持った人」という意味の方言だ。豊かな自然も「げってん」という気質も地元にとっては昔からある当たり前のものだが、外部から見れば魅力的なもの。プロジェクトチームの一員で商業・ブランド推進課の磯邊裕樹氏は「初めて価値あるものだと気づかされた」と振り返る。
こうして2024年8月、「大地(=恵まれた自然の力)」と「人(=そこで暮らす生産者のこだわり)」をコンセプトにした新しい認証制度「九州・中津 逸品もん」が誕生した。