スポーツクライミングの第一人者が手掛けたチョークは、他のクライマーにも浸透していった。2023年の世界選手権でリード優勝、複合(ボルダリングとリード)3位となり、楢崎選手とともにパリ五輪の複合で代表選手となった森秋彩(あい)選手(茨城県山岳連盟所属)もその一人。茨城県龍ケ崎市内にあるトレーニング施設で楢崎選手がWISEのチョークを使っているのを目にし、森選手も使用するようになったという。
施設は、楢崎選手の妻で東京五輪スポーツクライミング銅メダリストの野口啓代(あきよ)さん(東京五輪後に引退)が実家の牧場を活用して整備したもので、楢崎選手や森選手をはじめ国内のトップアスリートが練習に訪れている。森選手は現在、WISEのサポートメンバーとなり、アクトビが商品を提供している。
WISEは自社ECサイトでの販売のほか、国内のクライミングジムでも取り扱っており、取り扱い店舗は約150。さらに韓国などアジア圏を中心に7カ国・地域に輸出している。安生氏は「今後は海外、とくにスポーツクライミングの本場であるヨーロッパの市場にアプローチしていきたい」と話す。
五輪種目に採用されたこともあって国内のスポーツクライミング人口は近年増加しているとはいえ、まだ60万人程度だ。一方、世界では欧米を中心に1500万人規模と言われる。「一人平均の年間消費金額を3000円とすると世界の市場規模は450億円。WISEは世界トップレベルの楢崎選手との共同開発商品であり、世界市場のシェア5%はつかみたい」と安生氏。栃木発のブランドは世界へと照準を合わせている。
クライミング人口が多いヨーロッパを主要ターゲットにしているWISEにとってパリ五輪は、ブランドの知名度を高める絶好の機会となりうる。楢崎選手、森選手の活躍と同時に、五輪初お目見えとなるWISEへの注目度にも安生氏は大きな期待を寄せている。