沖縄での事業と同時並行の形で海外展開も進めている。「沖縄のパイナップルの生産量は年間7000t。これに対して沖縄から近い隣の台湾では50万tもある。台湾は紡績も盛んなので、繊維から糸や生地を製造するのには日本国内だけでなく隣の台湾との連携を考えた」(宇田氏)として台湾への展開を推進。2020年7月に台湾紡績協会、フードリボン、大宜味村の3者でパイナップル葉繊維を利用したアパレル製品の開発・製造・販売などに関するMOU(基本合意書)を締結した。
さらに、2022年10月に中原大学(台湾・桃園市)と産学連携を始めたところ、同大学の伝手(つて)で世界一のパイナップル生産国・インドネシアでも事業を展開することに。翌年4月、同国の全国農村協同組合連合会と共同で東ジャワ州に研修センターを設立し、繊維抽出機を設置した。のちに生産工場へと発展し、50人以上を現地で雇用。パイナップルの葉を収集して繊維生産がスタートしている。できた繊維を糸や生地にする製造過程では、インドネシア国内の日系メーカーが中心となって協力している。
インドネシアでは、正装であるバティックの生産が主要産業に位置付けられているが、この繊維素材のほとんどを輸入に頼っているのが現状だ。これに対し、フードリボンなどの事業では、インドネシア国内の未利用資源(パイナップル葉)を活用することで国内の繊維産業、さらにはパイナップル農家にも地産地消の形で寄与している。実際に、事業に関わる現地農家の収入は増加しており、貧困問題の解消にも一役買う形になっている。この取り組みに同国の王族が賛同。2024年7月のイスラム教の新年の祭りで王族が着用する衣装にパイナップル繊維が採用された。