富山市八尾(やつお)町で明治時代の蔵を改装した「越中八尾ベースOYATSU(おやつ)」という宿泊施設を2016年に開業した。現在は3つの宿を運営している。いずれの宿も一棟貸しで、お客様は一つの宿に1泊1組だけ。限られたお客様に対して、私たちがコンシェルジュとなって、滞在計画をプロデュースさせていただいている。
食事も宿で出さず、お客様のご要望を聞いて、要望に合った飲食店をご紹介する。宿を拠点に食事に出かけたり、お酒を買いに行ったりして町を回遊してもらう。宿に泊まるというのではなく、八尾町全体に滞在するイメージで運営している。
八尾町で事業を始めたのは、県が主催する観光人材の育成セミナーに参加したのがきっかけだった。もともと富山県の出身で東京の大学を卒業後、中国・青島の日本人学校で4年間教員をしていた。海外生活でいろいろな文化圏の人たちと出会う中で、富山の良さを再認識し、戻ることにした。八尾町は富山の伝統行事「おわら風の盆」で知られている町だが、初めて来た時は「何で?」と思うほど人の姿がなかった。いい町並みなのに残念だった。この町で通年観光に取り組みたいと起業を決意した。
宿泊を中心とした観光業のほか、アパレルとコンサルティングの事業もしている。アパレル事業では着物を洋服などにアップサイクルして新しい価値を生み出す「tadas(タダス)」というブランドを2018年に立ち上げた。中国での経験を生かし、海外への販路開拓のコンサルティングの仕事をしているのだが、母が着物で仕立て直した服を着て海外で商談をしていたところ、現地の方々にその服が注目された。帰りの飛行機で「これはいけるかも」と思いついて事業をスタートさせた。