「SDGsの取り組みは別に新しい技術を使っているわけではなく、昔から伝わってきたものを現在の時代の流れの中で使っているだけ」と山口氏はさらりと語る。和紙の装飾では紙の中に昔から金箔などを混ぜていた。こうした技術を、食品残さなどの未利用品を混ぜたサステナブルな紙づくりに役立てている。また、機械すきの和紙には一般的に使われるパルプを利用している。越前和紙の技や精神を守りながら、時代のニーズに対応するチャレンジ精神が事業の原点になっている。
10月3日から中小機構が大阪・関西万博で開催する体験型展示「未来航路-20××年を目指す中小企業の挑戦の旅-」に出展する山伝製紙。山口氏は「紙に対する価値観が多様化する中、展示を通じて、和紙の伝統や進化、紙の価値を再認識してもらえるような取り組みをしたい」と語る。
未来航路への出展に加えて、山口氏は万博へのもう一つの思いを打ち明けた。
「万博が終わったら、あの大屋根リングを和紙にしたい。釘が使われていないのでとても作りやすい」
紙はいろいろな形に姿を変える。名刺や封筒などのふだん使いだけでなく、障子や壁紙などは何十年も残せるものもある。実現するかどうかは現時点では分からないが、大阪・関西万博のレガシーの残し方としては非常に斬新で面白く、興味深い提案だ。