たこ焼きロボットを皮切りに、立ち食いそば店向けの「そばゆでロボット」、自動でソフトクリームを巻いてくれる「ソフトクリームロボット」、食洗器ロボットなど飲食店向けのロボットを相次いで開発。飲食店への導入実績を上げていたが、現在は惣菜製造工場をターゲットにしたロボット開発に舵を切っている。中食産業には全体で推定数十万人単位の人たちが従事しているという。なかでも惣菜の盛り付けは省人化したくてもできなかった工程で、「ロボットを入れる余地は非常に大きい」と判断した。
盛付ロボットを開発する上で、越えなくてはならなかったのは、ロボットが苦手とする不定形の食材をつかむ技術の開発だった。人が盛り付けをするときには手袋をはめた手で行うため、微妙な調整ができる。ロボットが惣菜をつかむのに適した道具はどんなものか。トレイにきれいに惣菜を置くことも大切だ。AIだけでは対応できないロボットの物理的な動作もかかわってくる。一定量の重さを瞬時に判断するセンサーの技術も加わる。パズルのような複雑な組み合わせを紐解きながら、最適なロボットシステムを作り上げた。
中食の製造工場では、盛り付ける惣菜の切り替えも多いことから、スピーディーに惣菜を選択できるソフトウェアを開発した。ロボットハンドもマグネットや小さなラッチ(掛けがね)で工具なしに簡単に取り換えられるようにしている。粘着性の高いポテトサラダから油分の多い中華惣菜まで和洋中幅広い惣菜への対応を可能にした。
盛り付けの全工程をロボット化した統合システムの開発では、経済産業省や農林水産省、惣菜製造業界などの支援・協力を受けながら実用化にこぎつけた。外付けの容器供給機で多様な容器を生産ラインに供給。コネクテッドロボティクスの得意技術である盛り付け作業をした後、同社のAI検査ソフトで検品し、不良な盛り付けなどを見分ける。最新式のトップシーラーで包装。重量を検知して自動で値段のラベリングもする。食品スーパーの惣菜工場で実際に稼働させるまでにわずか半年で実現させた。
「今は惣菜をはじめ食品工場に注力し、何千台、何万台と盛付ロボットを広げることが重要なテーマ。その後は飲食や農業を含めて食産業全体のエコシステムの中での自動化にチャレンジしたい」と沢登氏は先を見つめる。近い将来、ロボットはさらに柔軟に多様な仕事をこなせるような形で進化するとみており、「農業から飲食業、第一次産業から第三次産業まで、食産業全体がロボット化する時代が必ず起こる。われわれの技術でそんな世界を早期に実現させたい」と意気込んでいる。