いまから25年ほど前、同社の創業者で現会長の窪之内覚(さとる)さんは、北見市のホームセンター「ダイゼン」で店長を務めていた。ある時、顧客から「どの消臭剤を買っても臭いが消えない」とクレームを受けた。お客様のニーズに応えようと、窪之内さんは市販の様々な消臭剤を探したが、2年経っても良い商品に巡り合えなかった。
そんなとき、酪農家の知人が、「牛の尿を乳酸菌で分解した茶色い液体」を持ってきた。酪農業が盛んな北見市では、牛の糞尿による悪臭と、ある環境汚染が公害問題になっていた。土中に染み込んだ尿が付近を流れる常呂川に流れ込んでいるのだ。この川は農業用水として利用されるほか、オホーツク海からサケやマスが遡上し、河口は日本有数のホタテの水揚げ場にもなっている。そのため国や北海道、農協と酪農家が協力し糞尿処理が進められていたが、処理設備は酪農家自身も多額の費用負担を伴うものだった。知人は経営を圧迫しかねないとの心配から、処理済みの液体を販売できないかと、相談にやってきたのだ。
もともと窪之内さんは農家の出身で、確かに園芸には使えそうだと思った。しかし、冬の長い北海道では園芸時期がとても短く、大きな収益にはなりそうもない。液体の臭いを嗅いでみたところ、まったくの無臭だった。「牛の尿の臭いがなぜ消えるのだろう?もしかすると他の臭いも消えるかもしれない」と思った窪之内さんはペットの糞尿や生ゴミ、排水口やトイレなど様々な悪臭にその液体をかけてみた。すると、なぜか臭いが消えたのだ。
窪之内さんは「この液体は宝だ。北見の人々の悩みの種だった牛の尿を価値ある商品に変えることができれば、酪農家を助けられるだけでなく公害問題の解決にもつながる」と考えた。「どうしても世に出したい」と、ホームセンターに環境商品事業部を作り、この液体の商品化に向け各種安全性試験を実施した。原液が有色なため、そのままでは色が染まる素材には使えない。そこで改良が加えられ、透明化する仕組みが考案された。牛の尿を微生物で発酵させると、液体内の善玉菌が悪玉菌を減らす。これが「善玉活性水」で、有機物の腐敗臭やアンモニア臭などの消臭に効果がある。だが、花にかけても花の芳しい香りは消えず、不快な臭いにだけ反応することも分かってきた。