まず手掛けたのが、お手伝いを受け入れてくれる事業者探し。ひとり起業ということもあり、当初は宿泊施設に絞ってアプローチした。「説明してもイメージがつきにくく、とても苦労した」というが、「それでも100軒に1軒は、このままで立ち行かなくなるという危機感から興味を示してくれた」と永岡氏。やがて岩手県や富山県の宿泊業者が受け入れることになり、お手伝いをする「おてつびと」をサイトで募集。大学生が現地に向かった。このうち、従業員のほとんどが60歳以上という岩手県内のホテルでは、若い学生が来たことが刺激となり、職場の雰囲気がガラッと変わったという。また、ホテルが開設していたインスタグラムをデジタルネイティブの学生が一新させ、インスタ映えする写真を数多くアップした。「人と人が会うことで様々な化学反応が起きる」と永岡氏は「おてつたび」の効果を強調する。
もちろん、受け入れ側には抵抗感や不安があった。第一に、短期の人材をうまく活用できるかという点。ただでさえ人手が足りない時期に、短期間で働きに来る人たちの指導まで手が回らないのでは、との声がよく聞かれた。しかし、たいていの場合、現場の仕事はうまく回った。食事が終わった皿を下げるなど、未経験者でもすぐできる仕事を担当させ、それだけでも従業員の負担は大きく軽減された。
第二に、たとえ短期であっても対面での面接なしに採用者を決めることへの不安があった。この点については、「応募する際に、志望動機や自己紹介を一定の字数以上で書き込んでもらい、その人の経験や興味・関心などがわかるような内容になっている。そこを読んでもらえれば面接なしでも、ふさわしい人を選ぶことができる」と永岡氏は強調する。
こうして実績を重ねるうちに受け入れ側の不安は解消され、なかには募集をリピートする事業者も出てきた。長崎県の離島、壱岐島にあるステラコート太安閣では、何人かの「おてつびと」を受けて入れているうちに彼らのポテンシャルの高さを認識。やがて短時間の研修の実施とマニュアル作成を行うようになり、より本格的な業務も任せるようになっている。このように同ホテルは「短期の労働力を繰り返し活用することで、長期を見据えた経営を実現している」(永岡氏)という。