苦労も多かった。これまで延べ30人(パートを含む)ほどを雇用したが、仕事が長続きせず、なかにはわずか1日で行方をくらまし、その後、警察に捕まっていたことが分かった、というケースも。「最初の頃は心が折れそうになった」と振り返るが、一方で、こんなことも。当時の勤務先で横領事件を起こして服役した50代の女性を雇用した。かつての職場関係者に自分の居場所が知られるのでは、と怯えながら過ごしていたが、やがて信濃路で受け取った給料の一部を横領金の返済に充てるようになったという。「いろいろな人たちがいるが、そのうちの1人でも変わってくれればいい」と西平氏は話す。
更生保護の取り組みは高く評価され、2014年には内閣府の女性チャレンジ賞を受賞。その受賞記念祝賀会が翌年1月に和歌山市内で開かれ、会場に集まった政財界の関係者ら約400人を前に、西平氏は「人は変わることができる。過去は変えられないが、未来は変えられる。今後も新たな目標に向かって歩む方たちを応援していく」と述べ、決意を新たにした。こうしたことをきっかけに職親プロジェクトや法務省の協力雇用主(元受刑者らの雇用に協力する事業主)を知った経営者も多く、「25社ほどが更生保護に取り組むようになった」(西平氏)という。
講演なども行っており、経営者に対しては更生保護への理解と協力を求めている。元受刑者らにも話してもらうことがあり、そこでは、恵まれない家庭環境など犯罪に至るまでの背景や経緯が赤裸々に語られている。出席した経営者の中には涙ぐみながら「こういう人たちのために(協力雇用主など)自分にもできることがあるんだ」と話す人もいたという。また、出所者らの立ち直りを支援する保護司に向けては、よりいっそう寄り添う姿勢を呼び掛けている。