宮本代表は民間企業からアカデミアの道に転じた。分子生物学者として、メッセンジャーRNAディスプレイ(IVV)の発明者の1人であり、それを応用した研究やゲノムプロジェクトに参画するなど、日本のバイオ研究者としてキャリアを築いてきた。メッセンジャーRNAディスプレイは、日本発の創薬プラットフォームビジネスを展開するペプチドリームの基盤技術ともなっている。転機となったのは、東京大学医科学研究所に自分の研究室を持ち、研究に取り組んでいた時のことだった。教授総会で臨床医から「宮本先生の研究はどのように臨床の役に立つのか」と聞かれ「メッセンジャーRNAディスプレイは、病気の原因因子の標的を同定できるので、同定した標的に薬を創れば役に立つのでは」と答えた。「じゃあ製薬会社に相談してみたら」とアドバイスをされた。そこでさっそく製薬会社の担当者に伝えたところ、返ってきたのは「そんなに簡単に薬は創れません」というつれないものだった。
そう言われるとがぜん実現させてみたいと思うようになった。生体内には、タンパク質をつくる装置と壊す装置がある。当時研究していたメッセンジャーRNAディスプレイは、生体のタンパク質をつくる装置を利用するものだった。「CANDDYは、生体内の仕組みで、タンパク質を壊す装置を使うというシンプルな発想で取り組んでみようと考えた」という。そこから、プロテアソームによるタンパク質の直接分解技術CANDDYが誕生した。CANDDY技術はさまざまな疾患の標的に適応できる。同社はまず、「がん」の領域で薬のつくれないことで有名な標的、RASのCANDDYをつくり、プロテアソームによる標的の直接分解を証明し、ヒトのすい臓がんや大腸がんの細胞を移植したマウスの実験でがん細胞が増えるのを抑えた結果を発表した。