中小企業応援士に聞く

エンジンオイルの訪問「量り売り」に商機【株式会社FUKUDA(京都市山科区)代表取締役・福田喜之氏】

中小機構は令和元年度から中小企業・小規模事業者の活躍や地域の発展に貢献する 全国各地の経営者や支援機関に「中小企業応援士」を委嘱している。どんな事業に取り組んでいるのか、応援士の横顔を紹介する。

2021年2月17日

IBCローリーサービス
IBCローリーサービス

1.事業内容をおしえてください

福田喜之代表取締役
福田喜之代表取締役

主力事業は、潤滑油総合卸売販売と付帯する「保管」「配送」「回収」などのサービス。35ブランド約1500アイテムにおよぶエンジンオイルなどを正規カーディーラー、カーショップ、自動車整備工場、バイクショップに販売している。

工場への工業油の販売も一部手がけている。主な営業エリアは近畿2府4県だ。創業は1969年9月。個人事業として立ち上げた。

2.強みは何でしょう

2012年に、業界初のIBCコンテナ(1000リットルを収納できる主に液体用の物流容器)によるエンジンオイルの訪問量り売り事業「IBCローリーサービス」を開始した。

独自に開発したオイル残量自動検知システムで、顧客に無償提供してあるオイルタンクの残量を計測したうえで、希望する分量のオイルを量り売りできるタンク内在庫管理サービスを確立したものだ。作業は、IBCコンテナを搭載したローリー車で顧客を訪問して行う。

3000を超える顧客の声を社内で共有できる体制も整備してある。共有した情報は、顧客満足度の向上につなげている。

こうした経営努力は、顧客の作業環境の改善と利便性向上に貢献しているとの自負がある。

3.課題はありますか

主力としているエンジンオイル卸販売の市場が、自動車の電動化の影響で約10年前から縮小し始めたことに危機意識を持った。これがオイルの「量り売り」を始めた動機でもある。

経営戦略を高次元で実現するため、12年に公益財団法人京都高度技術研究所の「オスカー認定」を受けた。優れた事業計画を持つ中小企業を計画の実現に向けて継続的に支援する仕組みだ。15年には経済産業省近畿経済産業局の「新連携事業計画」にも認定され、経営革新が進んでいる。

4.将来をどう展望しますか

残量検知システム
残量検知システム

エンジンオイルの量り売りサービスで構築した残量検知システムは、産業分野を問わず、液体の販売管理サービスへの応用が期待できる。20年には「液体配送システム」として特許を取得した(特許番号 第6666074号)。これから、液体を取り扱うあらゆる企業にPRしていく。

当社は、物流の上流にあたる潤滑油メーカーと、下流にあたる地域部品商がそれぞれに抱える課題を把握している。卸売業者ならではの強みだろう。両者の課題を解決するため、AIなどのデジタル技術を活用した新たなビジネスモデルを構築し、積極的に展開していきたい。

5.経営者として大切にしていることは何でしょう

オスカー認定や新連携事業計画認定など公的支援機関の一定の評価を得ている中小企業経営者の多くは、優れた経営マインドを持っている。意識の高い経営者同士の交流は産産連携につながると考えている。新たな価値を創造する可能性さえ秘めている。

中小機構には、異業種連携などに意欲的な経営者が交流できる機会を京都市域のみならず、近畿圏ひいては全国で創出することを期待している。

企業データ

企業名
株式会社FUKUDA
Webサイト
設立
1976年9月
代表者
福田喜之 氏
所在地
京都府京都市山科区大宅向山6番地
Tel
075-573-3030

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