沖縄県内で島豆富の製造販売をしている。ブランド名は「池田屋」で1983年に父が創業し、兄が継ぎ、いまは3代目の瑞慶覧 宏至(ずけらん ひろし、38歳)が代表を務めている。
島豆富は大豆を水に浸けてふやかし、水を入れてすりつぶした「呉」を生のまま絞ってから煮る。加熱後に絞る本土の豆富より熱に弱いたんぱく質を多く含んでいるので栄養価が高い。当社はこの昔ながらの「生搾り製法」で大豆から豆乳を絞り、地釜でじっくりと炊き上げる。原材料も国産にこだわり、大豆は滋賀県産の「タマホマレ」、塩は塩辛さの中に甘みがあるまろやかな沖縄産、にがりは北谷町の海水淡水化センターの濃縮海水を用い、天然鉱石のフィルターで塩素を除去しイオン水に変化させた水を使っている。
「島豆富」は1丁(500グラム)340円、型に入れる前のふわふわした食感の「ゆし豆富」は1袋(700グラム)290円で、毎月約1700万円を売り上げがある。以前は県内のスーパー向け卸が中心だったが、県内外のメーカーと競合し利幅が薄い。他社との差別化を図るため2014年9月に小型トラックによる移動販売を始めた。
豆富のほか「がんもどき」に「豆乳」、「おからサラダ」をはじめとした総菜や豆富を使ったヘルシースイーツなど50~60品目を積んだトラック8台が沖縄本島中南部の各地域を月曜日から金曜日までを巡回する。いわば現代の「行商」で、「プーピー」というラッパの音色とアナウンスを聞きつけたお客様が手を挙げて合図してくださるので、ご自宅の前に車を着けて直接販売するBtoCビジネスだ。固定客がつきリピータ率は9割にのぼる。
移動販売で新しい販路を開拓していたため、コロナ禍が顕在化しても影響は少なかった。常連のお客様が外出自粛中の新しいお客を教えてくださったりして2020年7月は前年同月比120%の売り上げを確保した。沖縄県が緊急事態を宣言した影響で21年6月は飲食店向けなどBtoBの卸販売が同70%まで落ち込んだものの、移動販売がカバーして全体では同116%の売上増だった。