ローカルに受け入れられる「濃厚とんこつスープ」
オーチャード・セントラルから歩いて10分ほどにあるタングリン・モールの1階にばり嗎シンガポール・タングリン店はある。営業時間は11:30-22:00。タングリン・モール周辺には欧米の駐在員も多く居住している。立派なコンドミニアムや都心では珍しい豪華な一軒家も見られる高級住宅街だ。ホテルやいくつかのショッピングモールも存在する。日本でいう麻布十番といった処であろうか。2012年11月にオープンしたが、内外装は日本のラーメン店だとわかるように日本と同じ仕様にした。
ばり嗎ラーメンの特徴は、こってりとした濃厚とんこつスープだ。ASEANの人々はしょっぱい辛さを苦手としているため味は若干調整しているが、こってりラーメンは意外と好まれている。これまでになかった味のようだ。ラーメン以外にも、サラダ、餃子、焼き鳥、ごはん類などがサイドメニューとして提供されている。鶏肉好きのシンガポール人には焼き鳥が好評だという。富裕層は日本酒を飲んで焼き鳥を食べることもあるという。ラーメン1杯が1000円程度で餃子や焼き鳥を付けると客単価は大体1500円くらいになる。
ラーメンにおいてはスープの味が重要だが、日本から送るオリジナルスープの他、良質の麺、チャーシュー用豚肉、玉子、野菜を調達している。シンガポールではラーメンに載せる店舗仕込みの厚いあぶりチャーシューが好評だという。日本の味を見事に再現しているのだ。
利用客層はさまざまだ。昼間は近隣のビジネスマン、夜は4-5人の若いグループが来店する。土日は家族連れが多い。客の3割は日本人で、5割は現地のシンガポール人。残り2割は欧米人などだ。週末は日本人が多く来店するようだが、それでも店の半分を埋めるほどではない。多民族国家ならではの光景だ。
面白いことに、シンガポーリアンの間ではラーメンの嗜好が分かれているそうだ。みそ味が好きな人もいれば、しょうゆ味が好きな人もいる。太麺、細麺といった麺の種類にも好みがあるようで、このことからもさまざまなラーメンがシンガポールに存在していることがわかる。
この店舗の運営を任されているのは、広島にある本社から異動した日本人3名のスタッフと現地で採用した社員4名の計7名。現地採用社員は、20-50代と年齢もばらばらだ。
このスタッフは大変熱心に働いてくれている。最近はスタッフの力も付いてきたので、ピーク時でも4名で回すことができるようになった。声掛け、ダウンサービス、挨拶などは日本のサービスを取り入れているので、現地スタッフにも指導している。日本スタイルの接客は現地での評価が高い。
よい物件が確保できれば、早期に2店舗目も出店したいと考えている。日本から3名の社員を派遣しているのは次なる展開を視野に入れてのことである。店舗数を拡大すれば、現地採用スタッフに店舗を任せることもできるのではないかと考えている。
シンガポーリアンは中華系、マレー系、インド系などに分かれる。彼らの考え方はドライで、お金に対してはシビアだ。会社や上司にロイヤリティを持って働くことは少ない。そして常に評価を求める。できる事・できない事をはっきりと知ったうえで、「できない事が改善された場合にいくら給与が上がるか」ということを明確にしたがる。元々人種も育った環境も違うメンバーが集まっているが、最近ではお互いへの理解も進み、組織として一体化しつつある。