ハンズオン支援専門家継続派遣事業は、自社商品の開発が表向きのテーマであるものの、その裏にある「後継者の育成」「組織型経営体制への転換」こそが本質的な目的だった。ある社員は「専務が苦労する姿を間近で見てきた。そこから専務を支えていこうという意識がうまれてきた」と語る。また、「社長の知識の量はすごいが、正直専務の方が相談しやすい。仕事を進めやすい面もある」と社長とは違う視点で専務を評価している声も聞かれた。
斎藤専務自身も徐々に覚悟を固めている。「プロジェクトを通じて商品開発力がまだまだ足りないことを痛感した。ここを改善するべく、自社商品の開発を進めていきたい。同時にIT化の遅れも致命的になっている。受発注の自動化や、工場の省力化・自動化にも取り組まないといけない。情報の共有も進めてデータを連携させていきたい」。商品開発や営業では社長の力を認めるものの、IT化は自身が先頭に立って取り組むという自信が垣間見られた。
金瀬シニアアドバイザーは「プロジェクトリーダーにマネジメントの経験を積んでいただき、事業承継につなげることを狙いに支援を行った。進捗管理の重要性に気づき自ら行動するなど、変化が見られた。支援の最終報告会で、社長より『プロジェクトメンバーに積極性がでてきた』とのコメントがあり、さらなる変化を期待している」と語る。
斎藤社長は数年後に社長交代すると決めている。そして「これからは口出しする機会をできるだけ減らしていく」と自らを戒めている。当面の目標は「5年後に自社ブランド製品の割合を20~30%に高める」。社長がなんでも決めてきた会社がこれから、どう変わっていくのか、専務のリーダーとしての自覚とそれを支える社員の力が試されている。