こだわったのはあずきを柔らかく炊く技術だけではない。あずきバーを見ると、中に入った粒が均等に散りばめられていることが分かる。原液をそのまま凍らせると当然、比重の重いあずきの粒は沈殿してしまう。これを防ぐため、井村屋は原液をかき混ぜながら凍らせる製法を採っている。
また、原材料はあずきと砂糖、水あめなどのシンプルな設計だからこそ味つけで手を抜くと、丁寧に炊いたあずきが台無しになってしまう。そのため、砂糖の甘さが過敏に引き立たないように「甘さが後に残らず、もう一本食べたくなるような飽きのこない味」(商品営業部冷菓・加温営業チームの川嶋康之課長)を追求した。
商品名は素材感をダイレクトに訴求できるように「あずきバー」に決定。1973年に「30円あずきバー」として発売された。
あずきバーに限らず、一般向けアイスクリーム製品は家庭用冷蔵庫の普及とともに、売り上げを伸ばしていった。家庭電気文化会によると、1965年に冷蔵庫の普及率は50%を超え、76年には100%となった。
家庭での冷蔵庫の普及にあわせ、井村屋は79年に箱入りタイプの「BOXあずきバー」を発売。着実に売り上げを伸ばし、10年には過去最高の年間2億5800万本の販売を記録した。
2006年と11年には、効率的に凍らせることができる食品機械「バーサライン」を導入。冷却液を金型に直接吹きかけるため、従来では凍結に12分ほどかかっていたのを7分に短縮できるようになった。夏場の需要期に安定供給できるようになり「06年度は前年度比10%増の売り上げとなった」(岩本康グループ事業戦略チーム長)という。2013年1月には「あずきバー」が商標登録された。